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雅のそんな悩みなど微塵も気付かない山崎は、匙で掬う度真面目な顔で息を吹きかけ冷ましてから、口元へと運ぶ作業を繰り返していた。
「フーフーフー……ホレ。」
「ん…」
モグモグ咀嚼して飲み下す様を見つめる山崎。
良い機会なので雅もジッと見つめ続け、隅々まで観察する。
……顔ちっさ。お肌ツルツルじゃん。眉毛薄くて細いけど剃ってんのか?ちょっと吊り目で鼻の筋通ってて、唇は男の割りにプックリして可愛い感じだし…肩幅もあたしより少し広いくらいで、よくヒョイヒョイ抱っことか出来るもんだなぁ。指先も全然骨張ってないや。声も他の人よりは高いよねぇ…そういえば山崎さんだけ、いつも清潔って言うか…男臭くない感じする。
中性的で気が利く所に妙な親近感を覚え、スケベで口が悪くなければ仲良くなれたかも知れないとさえ思う。
「…何やねんな、人の事舐めるように見くさって。」
食い入るようなその視線が流石に鬱陶しくなったらしく、手の動きが止まった。
「あーゴメンゴメン。いやさ、よく見たら、山崎さんて綺麗な顔してるなぁと思って。」
「……は?」
「けど、残念な事に横着な口の利き方するから、それが霞んじゃって勿体無いんだよねぇ。」
「勝手に人を褒めたり貶したり…要らん世話じゃボケ。」
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