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ぶっきら棒で棘を含んだ言い方はいつもの事ながら、それが今だけカチンと来ないのは介抱してもらっているからという理由だけではない。
「ププッ、照れてやんの。」
平静を装った振りをしていても、両耳だけが瞬時に熱を持ち真っ赤に染まった所を、しっかり見てしまったのだ。
「なっ、…んな訳あるかい。そんなんしょっ中言われとるさかい、飽き飽きしとるだけや。」
「ふーん、そうなんだ。」
「そうや。」
「でもそれってさ〝素〟の山崎さんじゃなくて、土方さんに喋るみたいに嘘っ子の時に言われるんじゃない?」
何と無くそう思っただけだが、再び運ばれかけた匙はピタリと止まる。
「ん?心当たり有りまくりって感じ?」
意地悪く笑うと、山崎の頬はヒクッと引き攣った。
「…お前、ホンマええ性格しとんな。」
「そりゃどうも。…まあね、あた…俺も大概捻くれてるからさ。ちょっと解る気がするんだよね。」
「…ほうか…」
すると急に暗い目をして、黙り込んでしまう。
シン…と気まずい間が空き、無言で差し出された匙を咥え咀嚼し飲み下した。
ーーアレレ?マズい事言った?
その一連の作業を繰り返し食べ終えてから、伸びた手がご丁寧に手拭いで口を拭こうとする。
「え、いいよ、自分でや」
「やかましわ、腕もよう上がらん弱っちい奴は黙ってえ。」
「ぐっ…」
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