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至れり尽くせりで世話焼きなのは変わらない。
だが、
…んー…これは地雷踏んだかなぁ。
という事だけはわかった。
それを確証付けたのが、
ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ…
「ちょっ、痛い…やめ…タラコになんでしょーが、バカちん!」
執拗に力強く続く嫌がらせだった。
目を剥いて怒り出すと、その手は漸く止まる。
「ん?たらこて何や?」
「唇が腫れるっつってんの!」
「えー、そやかてキレイにしとかんと、怖い病になったらアカンやん?」
「病て…このまま皮が剥げるまでやられたら、病気になる可能性は充分あるけどね…」
意味不明な事を言い打って変わりニッコリ笑う山崎に、不気味さと相反する安心感を覚えた。
今この場に土方がいれば不快を露わにする事間違いナシだが、それは雅の知る所では無い。
「よし…ほな、ここら辺で勘弁したるわ。」
「あ、ありがと?」
唇が痛いせいか体が痛むせいか…涙目で唇を覆い隠し拒否されているのに、山崎は大いに満足気だ。
…綺麗だけど、そういうとこが変わってるから三枚目枠なんだよ…
心の中で染み染み思い、夕餉を片付けようとする背を見つめた。
「ほんならコレ、直してくるわ。」
「うん、ゴメンね。」
「別にかまへん。…あ、そや。永倉はんらもえろう心配しとったさかい、そろそろ来よるかも知れんで?」
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