郷に入っては郷に従え

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心地良い微睡みの中感じる、自分以外の体温。 素肌へと直接触れ合う温もりは、結構久方振りだったように思う。 俺よりも小さな躯体はスッポリと腕の中に収まり、安心感にも似た喜びが湧き上がる。 唇や頬に当たる柔らかな髪が擽ったくて、その匂いを意識的にスンと嗅ぐ。 ーー同じシャンプーの香りだ。 キュンと胸が高鳴るのは、男も同じ。 どうか何時迄もこの幸せな時間が続くようにと願い、また瞼を伏せた。 「……うぅ~…し…ん、ぱっつぁん…苦し…い……息…臭いぃ…」 ……しん、ぱっつぁん? 漏れた寝言に眠気もぶっ飛び、我に返るなり怒りが一気に爆発した。 「誰の息が臭いだあ!?この野郎ぉーーーーっ!!」 「ぐえっ!?」 さっきまで愛おしいと勘違いしていたその人物の首を、向かい合わせのまま胸板へ押し付けるようにロックしてやった。 「な・ん・で!お前が俺のベッドで寝てんだっ!?」 「ぎ…ぐるじっ…」 本気でキメたもんだから、相手は直ぐに空いた手でギブアップ宣言よろしく、俺の腕を必死に叩いている。 「チッ、懲りもせず毎回毎回っ!紛らわしい真似すんなボケェ!!」
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