郷に入っては郷に従え

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けどなまじ惚れた女と同じ顔してやがるから、ハムスターや兎の類いに見えて癒されているのもまた事実だ。 「…しょうがねえなぁ、洗濯干したらお前の夏服でも買いに行くか?」 だから、ちょっとだけ付き合ってやるか。 もし俺が逆の立場で江戸時代に飛ばされでもしたら、やっぱ先の事考えて色んな知識を得たいと思うだろうし。 「ふぉんふぉ!?ひゃっはぁーっ!……あ。」 「…てめえ…とことん行儀の悪りぃ野郎だな…」 飯を頬張ったままはしゃいだ平助は、向かい合わせに座る俺の顔面に米粒を飛ばし固まる。 これが雅でも怒るぞ俺は。 凄んで睨むと急に咀嚼を早め、丸聞こえにゴクッと飲み込んだ。 「ご、ゴメン…ね?そんなに怒らないでよぅ~」 伸ばされた手が顔についた米粒を摘まむように取り、それを自分の口に持って行きペロッと舐め取った。 「ーーっ!」 シュンとしおらしくしょげたかと思えば、ドキッとするようなエロい言動もする。 チクショウ、新婚さんかっ! 「…もういい、ごっそさん。…ちょっくら一服してくるわ。」 「えーっ!ゴメンてばっ、怒っちゃやーだぁー!」 「…怒ってねえから、さっさと片付けろ。早く終わったら後でアイス食わせてやっから。」 「えっ!あいす!?や、やるやる!やるから後であいす絶対買って!!」 「ハイハイ…」 テーブルを乗り越えんばかりに身を乗り出そうとするのを餌で従わせ、そそくさとベランダへ逃げた。
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