郷に入っては郷に従え

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くそったれ!めちゃくちゃ心臓に悪いっつーの!!何だよっ、今の会話はっ! これじゃホントに新婚さんか、同棲中のラブラブカップルじゃねぇかよ! ベランダの柵にもたれ、煙草に火を付けて大きく吸い込み気持ちを落ち着かせ… 「やあ~可愛い奥さんで羨ましいですなぁ~」 「ブハッ!?」 るつもりが、突然降って湧いて出た隣の住人にビックリして、気管支に煙りが入った。 「ゲボッゴホッガホッグホッ!」 「あー大丈夫ですか?幸せ過ぎると、バチが当たるって言いますからねぇ、あっはっはっはっ!」 バチじゃねえっ!てめえの所為だ、殺すぞゴラアッ!! 四十も過ぎた風情のヲタ男は、皺を深くして笑いドギツいショートホープを吸い出す。 この安アパートは孤児院を出た頃から入ったが、安いだけあって壁は激薄、住人も訳ありや変わり者が多い。 このオッさんは俺が来た時には既に居て、怖れる事無く誰にでもマイペースに絡む謂わば変人だ。 「ゴホッ、か、勝手に他所ンチの会話聴いてんじゃねえよ、ほっとけ!」 「いやいや、若者の声は張りがあって結構結構。あんな可愛い奥さんとデートとか、どれだけリア充してるんだって話しですよ。どうやって騙したんですか~?君が元ゾッキーだって知ってたりしますぅ?」
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