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明るく手を振り素直に奥へ引っ込んだ平助にホッとし、ガラス戸を素早く閉めた。
「そんなに焦らなくても、お隣さんの彼女を寝取ったりしませんよ~」
おっさんは不満気に、無精髭の生えた頬を膨らます。
うわ、キショ。
白い眼混じりに睨みながら煙草を消して、洗濯物を干し始めるとまたいやらしい視線を感じる。
「いくら見てても、女モンの下着はねえからな。」
「えー残念。」
…やっぱりか。
二人分を手早く干し、呆れ顔のままさっさと部屋に戻ろうとした。
そしたらこの野郎、
「大事にしてあげて下さいね~君はいつも長続きしないんだから。あんな健気な子、遊ぶだけ遊んだらポイとかおじさん許しませんよ~」
とか、何様だっつー説教しやがった。
「余計な世話だろ、てめえマジうぜえ。」
まさかこいつは俺がここに来てからの、女事情を全部知ってやがるのか…
ゾワッと全身に鳥肌が立つ。
「おー怖い怖い、今からデートなのにそんな顔してちゃ、彼女に怖がられちゃいますよ~?」
「……」
怖いのはてめえだ。
無言で中に戻るとGパンの裾を二重に折り曲げ、白Tシャツの上に黒のぶかぶかア◯ィダスパーカーを来た平助がいた。
「遅いよ、早く早く~」
無邪気な笑みを見せられれば、脱力感に襲われ溜息が漏れた。
…自分が野郎の下ネタのネタでオカズにされてるって知ったら、どんな反応すんだろーなぁ…
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