郷に入っては郷に従え

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それにしても、謝っても許さないってどうよ? 先に結果が見えてるモンなら無駄な労力なんざ使いたくねえし、その台詞はまるで女が使う常套句と同じに思えた。 「はぁ…」 出てくんのは溜息ばっか。 普通に野郎のダチなら、とっくに見限って縁切ってるとこだ。 そうは言っても平助に限っては放置する訳にもいかず、扱いに困り続け様に溜息が出る。 すると突然背後から、 「きゃー!蓮司先輩じゃないですかぁーっ!?」 「お久しぶりですぅ!こんな所で会えるなんて、運命感じちゃいますぅーっ!」 けたたましい声がして嫌な予感に振り向けば、族にいた頃の後輩が盛りに盛った派手な髪型で満面の笑みを浮かべ、腕を絡めて纏わり付いて来た。 「うおっ!?~~~~いってえんだよっ!触んなコラッ!!」 包帯だけ巻いて吊ってなかった左腕を急に引っ張られ、振り解こうとしたら余計にズキズキと骨が痛んだ。 「ご、ごめんなさい!だって理奈、知らなかったからっ!」 「先輩ソレ、どうしちゃったんですか!?」 押さえながら隠すように右手で庇うと、青い顔して指を差された。 「うっせえな、ほっとけ。」 日常生活で不便してたせいか痛みが少し治まった頃、直ぐに外してそのまま生活していたのが、まさかここで仇になるとは思いもしない。 「怒っちゃ嫌ですぅ~!ワザとじゃないんですよぅ~!!」 「あ!お詫びにお昼ご飯奢らせて下さい~!由香、美味しいお店知ってますからぁ~!」 ぶっきら棒に答えた事で、益々絡んで来るこいつらがウザい。 つーか、そのキショい猫撫で声ヤメロ。
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