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「お前ら…あ?」
イライラがピークに達した時、後ろから控えめに服の裾を引かれる感覚がして振り向くと、すっかり存在を忘れ去られヘソを曲げた平助が唇を尖らせていた。
…やっべ…
まだ問題は何も解決しないまま放置とか、誰でも不快に思うに決まってる。
「…あれ?その人もしかして…」
「げ……雅だ…っ!」
〝げっ〟て何だ、〝げっ〟て。
一時期俺の誘いで族に入ってた雅は、他人との関わりを拒むとこは相変わらずで俺から見ても、女達の間で浮いた存在になってた事は知っていたが…
元々喧嘩が強かったおかげか、男女問わず一目置かれていたのは確か。
直で付き合いのなかっただろうコイツらが数年経っても覚えてやがるのは、それだけ雅がインパクトの強い女だったって事だ。
「…蓮司、その子らって…」
「あ、こいつらは…」
「…お二人はぁ」
「付き合ってるんですかぁ?」
「「「「…………」」」」
全員の台詞がカブり、一旦停止。
年功序列ってヤツなのか、平助も女達も俺を見つめてジッと待つ。
「う…あ、えっと…」
いつもハッキリしてる俺が吃るとか全然らしくないけど、頭の中がゴチャゴチャで誰に何をどう説明すればいいのやら、わからなくなってしまった。
先ずひとつは、平助をどちらとして認識させるべきなのかって事だが、もし雅だと紹介した場合…『付き合ってるんですか?』の問いに答え無くてはいけない。
二つ目は平助を平助として名乗らせたパターン。
勿論雅との関連性を執拗にツッコまれるだろうし、ここまでウリ双子だと下手な嘘は付きにくいってのがある。
さて、リスクが低いのはどっちだ?
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