郷に入っては郷に従え

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『雅が何?付き合って無いけど?』 勝手にそう答えて平助を余計に怒らせた分、不本意だかゴキの事も含め平謝りか… 『あ?よく見ろよ、こいつ男だぜ?引退後に知り合ったんだがよ、世の中に三人は似た人間がいるってのは本当だったんだなー、いやぁ俺もビックリしたぜ。』 何つって雅と他人を演じさせ、嘘も方便だと後で詫びを入れるか… …ん?あれ?……何だよ、結局どっちにしろ俺が頭下げんの確定じゃんよ… だが良く良く考えれば平助はいつ消えるか知れないタイムトラベラー。 下手に関わりを持って、雅との繋がりを怪しまれたら面倒だ。 ただでさえ、俺達が孤児院で世話になってた訳ありだって知れてんのに、興味本位で調べられっと事故の事まで嗅ぎつけられたらマジでマズい。 それに男と紹介すれば…こんな可愛い男を、こいつらがほっとくわきゃねえ。 噂が噂を呼び…ってのも勘弁だ。 正体がバレねえように、ここでこいつらとの関係をブッチ切るってのが、最優先事項だと思えた。 そうと決まれば。 目線をスッと平助に流し、黙っていろと釘を刺す。 何かを察してくれた平助は一瞬気に食わないってツラ見せて、返事の代わりに『しょうがないな』って感じに頬を膨らませた。 …あーもう、それホントにヤメてくれ。 またうっかり可愛いとか思っちまっただろーが。 熱くなりかけた頬を誤魔化すように、 「は?付き合ってねえけどよ。つーか赤の他人のお前らに、詮索される謂れもねえし教えてやる義理もねえだろ。何でもかんでも色恋沙汰に結び付けんな、鬱陶しい。お前らの頭ん中どうなってんだ?一年中祭りかお花畑ってかアホ臭え、それこそ付き合っちゃいらんねぇんだよ、バーカ。」 ワザと現役の頃みてえに悪ぶってみせる。 「ちょ、先輩っ!いくら先輩でも言い過ぎじゃないですかぁ!?」 「ひどっ、サイテー!」 女達は傷付いた顔してやがったが、元ヤンよろしく急に負けん気満々で俺に向かって手を上げた。 煽ったのはこっちでも、殴られてやる気はサラサラねえ。 先に由香って女のビンタを掴んで止め、次の攻撃を待っていると… 「痛いっ!離せバカッ!!」 「…うーん、何かゴメンね?けど年頃の女子が喧嘩しちゃ駄目だよ?」 平助が里奈って女の腕を掴んで後ろへ捻じり、動きを封じてくれていた。
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