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「楽しかったねー!」
バニラとストロベリーのハーフジェラートを食べる平助は、無邪気に笑い足をバタつかせた。
「コラ、その足行儀悪いからヤメろ。当たってんだよ、さっきから。」
猛ダッシュで死線を潜り抜けた俺達は、デパートに着くなり喉を潤す為買い物より先に、四階にある食事エリアの喫茶店に入った。
向かいに座る俺はアイスティーを頼み、平助はメロンソーダにアイスといった、いかにも腹が下りそうなオーダーばかりをして今に至る。
「それにしてもさぁ、蓮司はモテるんだね~?」
「ブッ…!」
いきなり思い出したくも無い、ついさっきの出来事を振り返されストローでモロ噴いた。
「ゲホッゲホッ!…モテるとか何処でそんな…」
「んー?てれびってヤツでしょっ中言ってるよ?蓮司みたいなの『いけめん』とか『もでる』とかって言うんでしょ?」
「ちげえよ。モデルってのは仕事の事だ。」
「ふーん?」
古き良き日本…江戸時代の若人が得た知識は、日が浅い分少しズレてると判明。
「頭大きかった子達とかここの店の女子とか、皆蓮司ばっか見てさぁ。俺だって男なんだけどなぁ…でも今の俺は『雅』らしいから?女子みたいに粛々としてなきゃ、ダメなんだよねえ?」
そう嫌味を言ってテーブルに肘を付き、頬杖からの恨みがましい上目遣いが責めて来る。
「しょうがねえだろ。腹探られて痛いのは、俺よりお前なんだからよ。」
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