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すると平助の唇は更に尖り、
「…ちぇーだ、ハイハイ俺が悪うございました。どーせね、俺はチビだしカッコ良くないよ。」
益々拗ねた女のソレと変わらないものとなった。
「無自覚って怖いよなぁ…」
「何がさ?」
「いや、何でもナイ。」
妙な気持ちになりそうで逃げるように視線を逸らすと、確かに周辺からの視線がこちらに向いてるが…
平助は少し勘違いをしてやがるんだ。
その中には男の視線も混ざってて、明らかに平助狙い。
人の事は目敏いのに自分に対してとことん鈍感なのは、流石雅の兄貴と言ったところか。
「…ふん、まぁいいよ。じゃあ俺は少しでも女らしくなれるように、常日頃から稽古しとこっと。」
また嫌味タップリに言うから、
「へーへー、そうしてくれ。」
横を向いたまま適当に聞き流し、アイスティーをひと口飲んだ。
するとひょっこり顔の前に現れたのは、アイスが乗ったプラスチックのスプーン。
「ハイ、アーンして?」
「…あ?」
その仕草がまた女らしさを際立たせ、反応に困った。
「ホラ早く、溶けちゃうよ。」
「…要らねえ。」
「は?何で?」
何でと言われても…
一番の理由は、皆が注目してるからに決まってるだろ。
「…俺の腹はお前みたいに頑丈に出来てねえんだ。気持ちだけ貰っとく。」
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