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ぶっきら棒に答えてやると、
「あ」
ーーーボチャン!
「!?」
溶けたアイスがスプーンから滑り落ち、狙い澄ましたようにアイスティー目掛け見事に落下。
「う、わっ、」
しかも飛び跳ねて、服に掛かるというオマケ付きだ。
「ご、ごめっ、ワザとじゃ」
慌てた様子で俺の服を拭こうとする平助は、テーブルに置いてあるナプキンを鷲掴みで渡す。
ーーーちょ…流石にそれはカッコ悪すぎだろ…
「いや、いい、トイレに行って落としてくっから。」
受け取りを拒否して席を立つと、
「じゃあ俺もっ、」
そう言ってすぐに、平助も付いて来ようとした…が。
「あー、気持ちは有難いけどよ。幾ら何でも、男用のトイレにお前が付いて来んのはマズいだろ、〝雅〟?」
「あ…」
今は女である事をワザと強調して、動きを封じる。
ムッとした顔で俺を睨み、浮かせた腰を下ろした平助は、
「…わかったよ、さっさと行ってくれば?」
完全にヘソを曲げたように見えた。
けどそんな事よりも、
…側離れんのはかなり心配だが、まぁガキじゃねえし…ちょっとくらい大丈夫、だよな?
俺としては、そっちの方が心配で堪らなかったりして。
「おう、すぐ戻る。そこで大人しく待ってろよ、誘われても誰彼構わず付いてくんじゃねぇぞ。」
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