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まるで亭主関白気取りみてえな台詞を吐いちまって、
「や~ん、付いてくなよ、だって~」
「彼氏の方がベタ惚れじゃ~ん。」
とか、近くに座ってた女達を変に喜ばしちまったらしく、
…言ってろ、クソアマ共め。
めちゃくちゃ恥ずい思いをして、しこたま後悔した。
だがすぐ戻ると言いながら平助の元へ俺が戻ったのは、二十分以上も経ってから。
あの後、トイレで汚れた服に軽く水を引っ掛け適当に擦ると、案外ベタベタはアッサリ取れたものの…
そこに突然、怪獣が現れた。
「ぎゃわあああーーーーんっ!パーパッ、パァーパァーーー!!」
…うん、ニュアンスは間違ってない。
トイレ出入り口を塞ぐようにして泣き喚いていたのは、大体三歳くらいの女の子。
「うぎゃあああーーーーっ!どおーこーーっ!パーパァァァーーーーっっ!!」
「う…うるせ…」
このパターンは十中八九、迷子じゃなかろうか…
そう思った俺は一応、男子トイレに戻り中を確認する。
もしかして、父親のトイレ待ちかも知れない可能性もあったからだが、個室には誰もいないし俺一人しかいない状態だった。
その間も泣き叫ぶ声が谺し、おまけにトイレ内はエコーまで掛かり更に強烈で、いい加減鼓膜が痛い。
「おい、お嬢ちゃ…」
取り敢えずトイレから出ると、そこは治安国家日本。
既に人集りが出来ており、あの手この手で宥めすかしに入っていた。
…けど…
「うっぎゃあああーーーーんっ!パーパァァ、パーパァァ!ふぎゃあああーーーーっ!!」
見知らぬ大人達に囲まれて今度は怯えもプラスされ…何か余計、泣き方が酷くなったようだ。
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