郷に入っては郷に従え

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おばちゃん達はどうにか迷子をデパート側へ引き渡して、アナウンスして貰うつもりの親切心だろうが、パニックを起こしてるチビガキがそれを理解出来よう筈も無い。 「お名前は何て言うの?言えるかな?」 「パパのお名前知ってる?」 「パパを探してあげるから、ね?」 「やっ、やああぁぁーーーーっっ!」 不用意に握ろうとした小さな手は完全拒否。 ついでに身を捩り蹲(ウズクマ)って震えながら丸くなった。 「うっ、ヒッ、パーパッ!パーパァァァーーー!!」 こうなると俺的には段々、子兎がデッカい熊の集団に今にも食われそうとか、異星人に攫われかけてる地球の子供、みたいな図に見えて来た。 急に親が消え一人ぼっちになった時の絶望と…恐怖。 悲しいかなその感情は、体験した者でないとわかってやれない。 だから…放って置けなかった。 平助を待たせている事は、勿論頭を過ったけど… あいつはこの子と違って大人だ。 少しくらい待たせても、またアイスでご機嫌とっときゃ大丈夫だろって考えて。 「すんません。ちょっと、いいっスか?」 俺の足は迷わず、囲いの中へと進んで行った。
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