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「ーー平助っ!どこだ!?平助!!」
座ってたテーブルの上は片付けられずそのままで、俺のアイスコーヒーの氷は全部溶けちまってる。
「ちょ、ゴメン!ここに座ってた…女、知らないか!?」
近くにいた二人組みは俺達を冷やかしてたヤツらで、ずっと居たなら平助の行方も知ってるだろうと尋ねてみた。
「えっ、えっとぉ…」
「怒った顔してどこかに行っちゃいましたよ~」
媚びるような甘ったるい喋り方。
「彼女さんだったんですかぁ?」
「帰っちゃったんだったら、私達と一緒に遊びません?」
上目遣いがウザったい。
「わかんねえから聞いてんだろうがっ!役に立たねえ女共だな!」
八つ当たりっちゃ八つ当たり。
けど、こんな時に誘う方も誘う方だ。
「うわっ、サイアク~!」
「何様のつもりよっ!」
日本語の通じない尻軽女の罵倒は放置して、近くの店を片っ端から探しまくった。
「…ハァ…どこにも、いない…」
クーラーの効いた店内で走り回り汗だくになってる俺。
いい加減迷子の呼び出しをするべきかと考え始めた時…エレベーター付近で目に留まったのは店内配置図。
嫌な予感が益々デカくなる。
あの平助の事だ。
女だと勘違いした野郎共の誘いに乗る訳もねえし、ましてや力づくで連れてかれる程ヤワじゃねえ。
多分、帰りが遅い俺を探して徘徊してるうちに…
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