時は金なり試練は愛なり

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今は元治元年九月。 池田屋の戦いの最中タイムスリップしてから、暑い夏を越えあっという間に三ヶ月が経っていた。 『この時代を生き抜く為にも、自分自身が強くならなくちゃいけない』 そんな決意を持って誰よりも稽古に励んでいた、つもりだけど… 人間そう簡単に成長出来れば、苦労しない訳で。 三ヶ月の間にまた沢山の血が流れ、事実心が折れそうになっていた。 というのもあたし的には見廻りだけでも相当神経磨り減らしていて、いざ本番ともなるとからっきしの戦力外。 毎日のように殺傷事件が勃発する中、七月には禁門の変って大きな戦いがあって嫌々参加した時も、未熟なあたしのせいで左之さんと新八さんを負傷させてしまった。 迷惑掛けた反省しきりでめちゃくちゃ落ち込んでたら、その三日後には池田屋での受傷悪化で、安藤さん新田さんが次々に亡くなって… 更に聞いた話しによると禁門の変の前に捕らえられていた囚人が多数殺害され、敗れた藩兵達は天王山で自害したとか。 身近で人が沢山死ぬのを目の当たりにしても、あたしにはどうする事も出来ない無力さを痛感するばかり。 八月になると池田屋の時の恩賞金ってやつを幕府がくれたり、禁門の変の賞状まで貰ったりで皆喜んでたけど、あたしだけ複雑な気持ちのまま、ただ流されているように思えて酷く虚しかった。
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