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きっと自分でも気付かない内に、凄く醜い顔になってたんじゃないだろうか。
あたしを見る皆の視線が痛い程刺さる。
「わ、わり…そういう意味じゃ無くてだな…」
「…いーよ、別に。」
慌てて謝られても余計に惨めなだけ。
「い、いや、けどよ。今のは俺が悪かっ」
「ちょっと顔洗って来るね。」
「えっ?あ、ああ…」
これ以上喋りたくも無くて、拒否るようにぶった切り道場を出て行く。
「…あーあ、可哀想に…」
「馬鹿か、お前は。」
「うっ…」
キョトンとした顔であたしを見遣る隊士達と、その際背中越しに聞こえた会話。
悔しくて切なくて…加速する動悸と同じにどんどん足が早くなり、意識的に道場からは一番遠い井戸まで来てしまった。
「……はぁーー……」
少し荒くなった息を吐き、水を汲んで桶の中を覗き込む。
ゆらゆらと揺れる水面に映るのは、思った以上に情けない顔を歪ませたあたし。
ーーー何があってもめげないって誓ったのに…こんな風に悩んじゃうのってもう何度目だろ…
じわりと涙腺が緩みかけ、勢い良く水に顔面をつけた。
井戸の水は冷たくて心地いい。
でも肺に目一杯空気を溜めてなかったから直ぐに苦しくなって、漏れ出した無数の泡が頬を撫でては、ポコポコと耳元で小さな水音を奏でる。
…こういうのでお手軽に、マイナスイオン効果あったりしないかなぁ?
何てくだらない事を考えつつ、いよいよ限界に近付き上体を逸らそうとした…その時。
「いつまでやっとんねん。」
「ゴボッ!?」
不意に ポニーテールの束を掴まれ、グイッと後ろへ引っ張られた。
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