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「ンガッ、ゲボホッ…!は、鼻に入ったじゃんか、こんっチクショーーーッ!!」
咳き込みながら振り向き様に裏拳かまそうとして、
「お。」
ヒョイと簡単に交わされ空振りに終わった。
まだ奥がツンツン痛む鼻を押さえ恨みがましく睨みつけると、山崎さんはそれもどこ吹く風で軽く否し、
「何や、思たより元気そうやん。」
とか訳わかんない事言ってニヤけ、
「ホレ、頑張っとる子ぉちゃんにはコレやるわ。」
「?」
袂から取り出した、得体の知れないモノを放って寄越す。
迷う間も無く受け取れば、ザラッと聞こえる小気味好い音。
「これって…」
中身を出すと色とりどりの星が手の平へ転がり…
その鮮やかな色彩にちょっとだけ、気持ちが綻んだ。
もしかして元気付けようと、わざわざ買って来てくれたのかな?
そう思い一応お礼を言おうとして、
「…ありが」
「あ、えーよえーよ。それ、廓の姐さんやらにぎょうさんもろぅたさかい、お裾分けや。」
仄かに漂う白粉の匂いに気付き、
「…あ、そ。」
自惚れだと知り自分を恥た。
山崎さんは身体を張って情報収集を熟す事もある。
それが映画とかに出て来るスパイに有りがちな任務と同じだってわかってはいても、実際に愛も無く身体を重ねる行為に対してあたしは今だに抵抗があって…
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