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悪気は無くとも、色んな意味で罪作りな人だと思う。
「…はぁ…」
三ヶ月程経っても、相変わらずここでの生活は肉体的かつ精神的にも苦になってて、実際今も苛々を緩和する為に渡された糖分は、逆効果でしかなかった。
…あたし、そのうち悩み過ぎてハゲるんじゃ…
結局、山崎さんにお礼なんて言わなかったし、貰った金平糖は一粒も口にしないで、八番隊の隊士達に差し入れとしてこっそり横流しした。
夕方になると、
「ただいま、平助。」
「ああ…左之さん、おかえり。」
昼の見廻りから帰って来た左之さんが衝立に羽織を引っ掛けてから、
「稽古、途中でサボったんだってな。土方さん達が心配してたぞ?」
部屋の隅に寝そべるあたしへ声を掛けてきた。
「…別にどうって事ないよ、ちょっと身体が怠かっただけでさ。皆が大袈裟なの。」
見廻りの報告の筈が雑談よろしく、早速左之さんにまで伝えてるのも鬱陶しい。
「そうか?…なら新八にもそう言って安心させてやれよ。嫌われたっつって、すんげえ落ち込んでたぜ?」
「………」
黙り込んだせいか、隣りにドッカリと腰を下ろした気配がする。
「…あいつに悪気があった訳じゃないって、わかってんだろ?」
「………」
沈黙は肯定と見なされ、
「なら、いつまでもヘソ曲げてんじゃねえ。仲違いと病は長引かせても、ロクなモンじゃねえからな。」
無抵抗なあたしの頭をワシャワシャ撫でまくって、鳥の巣アフロヘアに改造しよった。
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