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その後、近藤さんが夕食前に幹部連中を集めて話しがあるって言うから、渋々左之さんの後をついて行った。
「遅えぞ、左之。」
「あれ、俺達が最後か?」
副長室の障子を開けると、先に揃って待っていた男共の視線が一気に集中する。
中でも武田さんは、いつもの舐めるようなねちっこさであたしを見ていて、気持ちが悪いったらない。
コソコソと左之さんの大きな背に思いっきりカブって、素知らぬ顔で端に座るつもりが、
「平助?隠れてないで、こっちにおいで。」
近藤さんのせいで、余計に悪目立ちしちゃっていい迷惑だ。
「ゴホン…近藤さん、場所を弁えて下さいね?」
親戚の子供を呼ぶように手招きしている近藤さんを一睨みで窘めたのは、同じく皆と向かいで座る山南さんだった。
はぁ…助かった…
土方さんとは真逆で物静かなのに、滲み出る迫力は頭ごなしに怒鳴られるより効き目が抜群なのは、あたし自身も体験済み。
ションボリ肩を落としたおっさんはしれっとシカトして、一番奥に移動した左之さんの隣りへ腰を下ろす。
……んげ。
すると左之さんの前…つまりあたしの斜め前なんだけど、そこには新八さんが座っててチラチラ様子を伺っている。
…うざ。つーか、デカい図体して思春期みたいな仕草はヤメれ。
喧嘩してるつもりもないし冷たくあしらう必要もないんだけど…気付かないフリして、近藤さんの話しに耳を傾けた。
「えー…とだな。何故皆に急ぎ集まって貰ったかと言うと…」
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