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途端に『うっ』とか『むぅ』とか小さく唸り、ピタリと動きを止めた二人。
「…だがよ、お前が良くても俺は許せねえし賛同も出来ねえ。」
「………」
左之さんの思い詰めたような重い呟きに、新八さんはもう何も言い返さなかった。
あんなにもあたし達の関係を心配して、フォローしてくれていたのに…
周りを巻き込み、益々溝は深まるばかりだ。
シン…と静まり返った部屋。
そこへ、
「コホン、口を挟むようで申し訳ないのですが…此度の江戸行きの件、私めも警護を兼ね同行致す所存故、どうかお任せ下さいませんか?」
『誰の警護を』とは敢えて口に出さず、この場を治めようとする者が声を出した。
ーーーん?
だけど、当の本人の姿が無い。
皆もキョロキョロしながら、声の主を捜す。
すると土方さんが、
「…おめえなぁ…源さんで遊ぶのはヤメろ…」
怒りを通り越した呆れ顔で、入り口後列の端に座る井上さんを見る。
一斉に振り向いた先には。
「あはははははは…」
力無く笑う井上さんの真後ろから、ひょっこり首が生え…
「「「二人羽織か!!」」」
ギョッと飛び出そうな程目玉を丸くして、数人のツッコミが声高にハモった。
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