2279人が本棚に入れています
本棚に追加
わたわた慌てる様子から、その相手には満更でもないらしいと窺える。
「煩い!あんたこそ、あたしの命を粗末に扱ってんじゃないよ!自分はさっ、呑気に女遊びして平気で人身御供するなんて、バチが当たんのはあんたの方だ!バーカバーカハーゲ!!」
ーーームカつくムカつくムカつく!!
なんだかんだで土方さんは、絶対あたしの味方だと思ってたのに!
ショックの余り、涙まで滲む。
「なっ、バカはてめえだろ!」
エスカレートして来たのは土方さんも同じで、皺くちゃのラブレターを机に一旦置き手の平で真っ直ぐに延ばした後、大事そうに胸にしまってから臨戦態勢に入った。
「おうっ!馬鹿にもわかるように説明してやるから、耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれ!まず伊東と俺は面識が全くねえ!正直に白状するとだな、勧誘にもお前を江戸にやるのも反対した口だ!それにいくらこっちから勧誘に行くたぁ言え、局長がわざわざ出向くのにもいい気はしねえ!大体幹部が揃いも揃って雁首並べて馳せ参じたとあっちゃあ、相手に舐められるだけだろうがっ!もひとつおまけに言やぁ留守の間、山南さん一人に取り仕切らせんのも手が回んねえつう理由もあって、俺もこっから動く訳にゃいかねえんだ!俺だってすんげえ我慢してっし妥協してんだぞ!?心配し過ぎて、行かせる前からもう腹が痛えんだよ、このスットコドッコイ!!」
最初のコメントを投稿しよう!