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翌る日の早朝。
「…うー……目がしょぼしょぼする…」
昨日の反動からか、いつも以上に眠れぬ夜を過ごし…ほぼ完徹してしまったアホなあたしは。
「こないな日に一睡もしとらんとか…長旅舐めとったら、えらい目見んで。昨日は何の為に早よう休んだんやボケ。途中でくたばりでもしてみぃ、ええ恥さらしやで。」
別室でノロノロ旅支度をする間ずっと、廊下で待つ山崎さんに罵詈雑言の嵐を喰らい続け…
「…チッ…小姑かアンタは…」
勝てる筈も無い相手だからこそ、
玉砕覚悟で、いつか必ず奇跡のワンパンを入れてやる!
と、小さな小さな決意を胸に一人呟く。
「あ?何やて?」
「………」
…あ、やべ。そういやこの人、地獄耳だった…
「聴き取れんかったさかい、もっぺん言うてくれへん?」
「………」
嘘を付け、嘘を。
刺々しい口調が、不気味な笑顔を連想させる。
…先が思いやられるなぁ…
一番口煩い男が目付け役についたもんだと、取り敢えず聴こえない振りでその場はスルーした。
それから漸く支度が整い…
「遅いわ!何時迄待たせんねん!」
「いっ!?」
慣れない格好にヨタつきながら出て来たところをゴツンと小突かれ、朝なのに目の前には幾つものお星様が飛ぶ。
「な、何も殴んなくたって!」
「うっさいわ!これでちっとは眼ぇ覚めたやろ!?ホレ、皆待たせとんねんから早よ来いや!」
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