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心の内だけじゃなく、横を向き本物のベロを出したあたし…と、山崎さんの目が合う。
「こーら、調子こくなや。この連中はアンタに甘々やけどな、こっから先の旅路ではこうはいかへんで?」
「…わかってるもん。」
脅すように小声で囁かれ、感情のままむくれて返す。
「では、そろそろ出立するか。」
そして、近藤さんの声を合図にいよいよ旅立ちの時が来た。
「平助、くれぐれも身体に気をつけるんだぜ。…あークソ、チクショウめ、俺も一緒に行けてれば…」
「ぐえっ…く、苦し…」
左之さんの渾身の力を込めた抱擁に続き、
「それはこっちの台詞ですよ。はぁ…何で山崎さんは行けて、私が留守番なんだか。平助、もしもの時は誰で有ろうと、遠慮無く急所を狙って下さいね。」
「ンガッ!?」
背後から寄り添う沖田さんは両手で頭を掴み、無理矢理後ろの自分へ顔を向かせようとして…グキッとか、首からヤバい音がする。
「原田君、その辺にしておかないと…」
「…総司、平助がオチるぞ…」
本気で魂が抜けそうになる寸前で井上さんと斉藤さんが待ったをかけ、辛うじて一命を取り留めた。
「…うぅ…あんたら、手加減てモノを」
二人が力を緩め、何とか息をついた瞬間…
「本当に道中気を付けてな。」
「行ってらっしゃい。」
同時に左右から、フニャッと柔らかな感触が。
「………ふぇ?」
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