花一匁(ハナイチモンメ)

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ご飯は流石に同じ部屋で食べたけど、晩酌好きなおっさん達は旅先でも相変わらず、水を浴びるように結構な量を飲んでいた。 あたしもね、ここに来てから随分と酒を飲まされたんだけど…今だあの味に馴染めない訳ですよ。 だから、チビチビ舐めてる程度に付き合って、 「ゴメン…俺、先に寝てもいい?もう無理かも…」 「お、そうだったな。…なら、厠へ行く振りでもして席を外しなさい。後はどうとでもなるから。」 近藤さんにコソコソ相談。 有難いお言葉に甘えよろけて立てば、 「藤堂殿、何処へ?」 黙っては行かせてくれないだろうと思ってた武田さんが、目敏く寄って来る。 「ちょ、ちょっと厠へ…」 「…ならば私もご一緒致そう。男同士の絆を深める付き合いも、たまには良いものですぞ。」 どんなに真顔で小難しく言ってみても、それが下世話な発言には変わりなく。 …連れションなら連れションって言えよ… 今も昔も、そういう馴れ合いが存在するのは仕方ないにしても、あたし個人の意見としては、何故に臭いトイレへ徒党を組んで行きたがるのか…謎でしかない。 まあ、この状況に関して言えば、どっちにしても行ける筈もないんだけどさ。
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