2279人が本棚に入れています
本棚に追加
人間何かしら良い所はあるもので。
一方こっちの連中は、
「どうすれば良いのやら…サッパリだ。」
「あー大丈夫大丈夫。俺らもふざけてっ時、たま~に入っちまったりすっけど盲になったこちゃねぇだろ?なあ山崎さんよ。」
「そうですね。洗い流すしか手はありませんし、武田殿を待ちましょう。」
「ほら、一番詳しいこいつが言うなら間違いねえって。」
「そ、そうか?なら…」
「飲み直そうぜ~、ホレ一献一献。」
「おっとっと、すまんなぁ。」
…おいおい…
こんな調子でダメダメな大人っぷりを、恥ずかしげも無く見せつけている。
もしあたしが危険に晒されても、この人達は助けてくれるのだろうか?と不安になるくらいだ。
……信用出来ねぇ……
取り敢えずあたしはどうするべきか、固まったまま悩んでいると、
「あ、藤堂さんは今の内に厠(部屋の意)へ行かれたらどうですか?…今の内、ですよ?」
山崎さんが意味有り気に二度繰り返す。
それがやたらと不気味さを煽って、あたしは唾を飲み込んだ。
「…う、ん…わかった。じゃあ、行って来るね。」
と言っても部屋は隣りなんだけど。
薄情なのはあたしも同じで、尾形さんをチラチラ気にしながらも静かに退室。
「う~ん…」
同類に成り下がってしまった最低な気分だ。
その後戻って来た武田さんが率先して、甲斐甲斐しく尾形さんの世話をしたらしい事を、皆酔い潰してから戻って来た山崎さんが教えてくれて…
「自分、気付いとらんみたいやし教えといたるけどやな。…武田はん、狙っとるみたいやさかい気ぃつけなアカンで?」
「狙う?何を?」
「…『何を』ちゃうわ『誰を』やろ。藤堂はんアンタ、本気で言うとんの?」
「ほえ?」
「………このっ、天然ボケが!」
「ヒイッ!?」
何故か突然キレられ、布団の上に組み敷かれてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!