花一匁(ハナイチモンメ)

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カビ臭い布団に潜り目を閉じれば、疲れがどっと押し寄せる。 …初日からコレじゃあ堪らんぜ… 今日一日の出来事がまるで走馬灯のように駆け抜けた後は、プツリと意識が途絶え深い眠りにオチて行った。 そして迎えた新たな一日の始まりは、 『何じゃコラァァァーーー!?』 廊下で目覚めた山崎さんの雄叫びと共にやって来た。 「何で廊下に真っ裸で放り出されとんねん!?」 「おまけに何でお前が俺のん着とって、俺がお前のゲロ塗れ被せられなあかんねや!」 「さてはお前っ、自分のゲロ吐き俺に押し付けたんやろ!?悪どいやっちゃな!!」 先ず最初にけたたましく怒鳴り込まれ、 「……はぁー…朝っぱらから五月蝿いよ、山崎君……誰かさんのせいでこちとら睡眠不足だってーのに。」 鬱蒼と半身を起こす。 すぐ傍には血相を変えた、布団達磨の山崎さんが見下ろしていた。 「…山崎〝君〟て…ま、まさか…」 一晩寝て酒は抜けたようで、瞬時に察してくれた様子。 「…いやはや…自分の誤ちを人のせいにして忘れてるのって、それだけで罪だと思わない?…てゆーか、あーんな事しちゃってさぁー俺なら恥ずかしくて死んじゃうねー。」
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