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首元にまとわりつく髪を片手で払いながら指で梳く。
「は、恥ずかしい事て何言うてんねや。ハッキリ言うたら……」
何故だか突然、一点に視線が止まり硬直する山崎さん。
「…あかん…記憶にあらへんとかホンマ初めてなんやけど……けど…何か、堪忍や……謝っても謝りきれんわ…意識のうて…ほんなら俺、色々と…その…優しゅう出来ひんかったんちゃうか…?」
急に気持ち悪い程しおらしくなってくれちゃって、そうなるとこっちも昨夜の仕返しにちょっと虐めたくなって来た。
「うん、そりゃもうめちゃくちゃやりたい放題に出し放題で酷かったよー?最後だって人の胸目掛けてブチ撒けるし…もう信じらんないよ。嫁入り前なのにさぁービチョビチョに汚されてマジ最悪だわー。」
髪を一纏めにしてポニーテールを紐で結い、薄目でジロッと睨む。
「…出し放題…ブチ撒けてビチョビチョに……そんで感極まってゲロまで吐いてもうたんか…?…ええ歳して何つー…失態や…」
項垂れた山崎さんは相当ショックを受けたみたいで、しきりにブツブツと独り言を言っている。
…ふん、悩むがいいさ。
いっつも踏ん反り返って偉そうにしてんだもん、これもたまにはいい薬っしょ。
暫く反省しろっちゅーの。
「…こん事、局長達は…」
「さぁねー?山崎さんがあの人達潰したんでしょ?厠に起きてない限りは、見られてないとは思うけど…でも宿の人とか他の宿泊客はどうだか知らないよ?」
「…………」
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