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青ざめる山崎さんを尻目に、いそいそ布団をたたみ出すと、
「…ほんで汚してもうた着物洗いに行こうして、廊下にぶっ倒れたんやな…そんで雅が俺のん着とったんか…ほんなら辻褄合うし…うーん…やっぱアレやな…うーん…そないなって来るわな…」
唸りながら散々独り言を言い、自分の世界に浸っていた。
「さーて、顔でも洗って来るかな…あ、そうだ。ねえ山崎さん、ここって朝御飯は出る、ってうわっ!?」
何気に振り向けばその山崎さんが蓑虫脱皮よろしく褌一丁で直ぐそこにいて、あたしに向かい跪き頭を下げている。
「ど、どしたの?」
「………」
黙りこくって微動だにしないこの間が、めちゃくちゃ不気味だ。
「…えーと…そろそろ近藤さん達、起こしに行こうか?」
気まずさに耐え兼ね、理由をつけて部屋を去ろうとすれば、
「…………責任、取るわ……」
「…へ?」
「…ちゃんとケジメ付けて、責任取るさかいに…許したってくれ…」
神妙な面持ちであたしを見上げる。
……責任て、何だろ?
ちょっとだけ考えて『ああ、昨日の夜記憶失くして迷惑掛けた事言ってんのね』とそう解釈した。
「まぁね、いい大人なんだし…深酒も大概にして、同じ事を繰り返さないようにしなきゃダメだよ?…そこまで反省してんならもういいけどさ、責任って程じゃないし頭上げてくんないかな。」
「いや、せやかて…そない訳にはいかんやろ…」
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