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そこには帰りを待つ人達がいて、先頭が言葉を交わし次々に中へ入って行く。
戸板に乗せられている負傷者に付き添って行く人が殆どで、最後にたどり着いたあたし達が門を潜る時には、一人の小柄な男しか残っていなかった。
「お帰りなさい。」
「おう、今帰った。」
「留守を任せてすまないな。」
「いえ、それより藤堂組長は、負傷されたのですか?」
「あ、いや。怪我はねぇんだけどよ。」
【松平肥後守御預 新選組宿】
門の横にある木の板には、そう書いてあった。
新選組って…聞いた事ある気がする…
会話はスルーして、思い出そうと頭を押さえて唸ると、
「平助、どうかしたのか?」
心配そうな顔が三つ、あたしを見つめていた。
「だ、大丈夫、何ともないよ。」
エヘッと笑ってごまかしたら、
「ご無事なら良かった。」
小柄な人が柔らかく笑い返してくれた。
「お疲れでしょう。朝餉と風呂の用意が出来てますから、順にどうぞ。俺は怪我人の手当てに行きますから。」
そう言ってその人は先に行ってしまった。
門の中へ入ると外はまだ騒がしくて、汚れた着物を脱ぐ人や井戸で顔や体を拭いてる人で溢れていた。
ふ、褌がいっぱいだ…
初めて見た生褌軍団は凄くケツ筋が引き締まった人ばっかで、あたしとしては目のやり場に困る。
「俺達は部屋に直行だな。」
「ああ。」
二人は流石同性…位にも解さず集団をすり抜けて大きな屋敷の中へ…密かに顔の赤いあたしを背負ったままズカズカと連れて入った。
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