2279人が本棚に入れています
本棚に追加
そして冒頭に戻る、だ。
思いがけず楽チンな旅だと言ったのは嘘偽り無くて。
「あちらの内情を偵察がてら私達が先に赴き、あわよくば段取り良く事が運ぶよう、話を進めておこうと思うのですが…局長、如何でしょうか?」
そう山崎さんが提案して、
「ああ、それがいいかも知れんな。昔馴染みの者が場を和ませておいてくれれば、我々への警戒心も薄れるだろう。では、永倉君も先発組に同行してくれ。」
近藤さんはまだ酒が残った寝呆け顔を擦りつつ、二つ返事で了承した。
「いえ、永倉さんは」
「おうよ、任せとけ!」
「……チッ…」
どうやら山崎さんの進言はあたしと二人でって意味だったらしく、潰された割りに全然元気な新八さんの返事に、思惑が外れて苛立つ小さな舌打ちが聞こえた。
「何もそこまでせずとも…」
寝耳に水といった様子で、武田さんも二日酔いの頭を押さえ反対しようとするけど、
「…そうしましょう…某、いつものようには歩けそうも…ウエッ、プ…!」
尾形さんは完全にダウン寸前。
「本調子では無い事だし、無理をせず行こうではないか。ウッ…!……ゴックン。」
「はぁ…局長殿がそう仰るならば、致し方ありますまい。…尾形殿、吐くのであれば向こうの隅に行き給え。こちらまで気分が悪くなっ、……うげっ臭!…ケロゲロケロゲロバァァァーーーー!!」
………散々だな、オイ。
最初のコメントを投稿しよう!