花一匁(ハナイチモンメ)

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そして冒頭に戻る、だ。 思いがけず楽チンな旅だと言ったのは嘘偽り無くて。 「あちらの内情を偵察がてら私達が先に赴き、あわよくば段取り良く事が運ぶよう、話を進めておこうと思うのですが…局長、如何でしょうか?」 そう山崎さんが提案して、 「ああ、それがいいかも知れんな。昔馴染みの者が場を和ませておいてくれれば、我々への警戒心も薄れるだろう。では、永倉君も先発組に同行してくれ。」 近藤さんはまだ酒が残った寝呆け顔を擦りつつ、二つ返事で了承した。 「いえ、永倉さんは」 「おうよ、任せとけ!」 「……チッ…」 どうやら山崎さんの進言はあたしと二人でって意味だったらしく、潰された割りに全然元気な新八さんの返事に、思惑が外れて苛立つ小さな舌打ちが聞こえた。 「何もそこまでせずとも…」 寝耳に水といった様子で、武田さんも二日酔いの頭を押さえ反対しようとするけど、 「…そうしましょう…某、いつものようには歩けそうも…ウエッ、プ…!」 尾形さんは完全にダウン寸前。 「本調子では無い事だし、無理をせず行こうではないか。ウッ…!……ゴックン。」 「はぁ…局長殿がそう仰るならば、致し方ありますまい。…尾形殿、吐くのであれば向こうの隅に行き給え。こちらまで気分が悪くなっ、……うげっ臭!…ケロゲロケロゲロバァァァーーーー!!」 ………散々だな、オイ。
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