花一匁・其の二

3/28
前へ
/412ページ
次へ
連れ去った目的は何なのか… 迂闊に尋ねて機嫌を損ねたり、ボロを出して未来人だとバレたら、何をされるかわからないし… どう出るか、相手の様子見をする。 「………」 「………」 ……てか、凄いガン見されてんだけど……? イケメン君の微笑は崩れる事無く保たれ、まるで何かを待ち侘びているような好奇の眼差しを向けられていた。 「…ねぇ、覚えてないの?」 「…ハイ?…」 何をだ? 自然と傾く首。 「僕は…一日たりとも忘れた日は無いよ。君と出逢った、激しいあの夜を。」 は…激しい夜!? 「乱暴に扱ってしまって悪かったね。身体の方は大丈夫だった?」 ら、乱暴ですかっ!? ぐるぐると頭を巡らせ思い出そうとしても、身体が痛む程ハレンチな体験をした覚えなんか当然なくて。 「あの…」 「何?やっと思い出した?」 「いえ、あの……すみません。あなたと…エッチ…じゃなくて、イタシた記憶がまるっきり無くって…それって他の誰かと勘違いしてるんじゃあ…って思うんですけど…。それに俺、男だし…」 大体さ、こんなドSイケメン兄ちゃんと『アハーン』な事になってたら、忘れようにも忘れらんないってばさ、普通。
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2279人が本棚に入れています
本棚に追加