花一匁・其の二

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低い声色で懸命に睨み返すと、 「気に障ったんだ?ククッ、そんなに威嚇しなくても取って食いはしないよ。…苛めてごめんね、仔猫ちゃん?」 軽く受け流して同じ目線にしゃがみ込む。 こ…仔猫ちゃんですとーー!? どこぞの胡散臭いホストみたいな歯の浮く台詞に、こっちの方が小っ恥ずかしくなって来て、カッと頭に血が上る。 「だっ、誰が仔猫ちゃんだ!舐めんなハゲっ!」 砂利を握り締めたまま、振り上げた右手。 グーパンでも砂利攻撃でも、クリーンヒットの距離だ。 当てたらソッコー逃げる!何が何でも逃げる!!何時迄もこんなキザ野郎に付き合ってられるかっつーの! 本能的に逃げられないってわかってても必ず生き延びてやると、決死の覚悟で挑もうとしたその瞬間、 『ガシッ!!』 痛いくらいの強い力で掴まれた腕ごと引き寄せられ、 「…可愛くない仔猫ちゃんには、お仕置きが必要だね。」 ペロリと唇を舐められた。 「………」 数秒固まり、 「ほうわたあっ!?」 頭真っ白のパニクりまくりで、反射的に左手で殴りにかかったらこっちまでもガッツリ掴まれてしまって、 「…甘いね、こんなか細い腕で僕に敵う訳ないじゃ……あれ?意外に太いね。一応鍛えてるんだ?」 まるでプロレスラーがマット中央付近で力比べしてるような勇ましい格好のまま、袖から出たあたしの腕をマジマジ見てから、女子に対して絶対に言ってはならない二文字を余裕綽々で言い放ちよった。
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