花一匁・其の二

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こいつは見掛け倒しの大馬鹿だ…と、脳内インプット完了。 「…だから今言ったじゃない死んだって。君と初めて出逢ったあの夜にね。」 なのに、急に悲しい目をして遠い空を見上げるから…憎まれ口はただの強がりなんじゃないかって、チクリと胸が痛んだ。 親しい人を失うのは辛い。 そんなのはあたしにだって理解出来るし、体験済みだ。 ずっと、から元気で寂しい気持ちを誤魔化したり、言いようの無い怒りをぶつけて憂さを晴らしてた。 そうでもしないと、独りで立っていられなくなるから。 …弱い自分を認めたくないから… この男が必要以上にベタベタとあたしに絡んでくるのは、喪失感から逃れたいという足掻きの現れなのかも知れないとか、らしくもない考えが浮かぶ。 寂しい人…なのかも知れないと。 「…ねえ、あたしと会った夜って…いつの事なの?話してくれたら、ちゃんと思い出せると思うから教えて?」 同情なんて吐き気がする程嫌いだけど、あたしも関わってる事らしいし尚更ハッキリスッキリしときたかった。 「何?もう降参?」 「だって、こんなやり取りしてたら日が暮れちゃうもん。」 「全く覚えてないなら、そう言いなよ。」 「だから最初から言ってんじゃんか。」 「可哀相なオツムだね。」 「ほっとけ!」
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