花一匁・其の二

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散々な言いようで、男は喉の奥で小さく笑った後、 「…池田屋だよ。君は見慣れない場違いな格好をしてて、相当目立っていたね。」 一瞬にしてあたしを青ざめさせた。 単車の事故で死にかけた時、何故かあたしだけがタイムスリップして…気が付けばそこは死闘の最中。 『一難去ってまた一難』ってより『一難去って次大難』、死亡フラグ全開で。 いきなり時代劇みたいなシーンが現実に目の前で繰り広げられていて、どうしようも無くただ怯えるだけだった。 イキがって喧嘩をしていたあの頃とは違う…初めて見た本物の殺し合い。 新八さんと左之さんが助けてくれなかったら、あたしはこうして生きてなかっただろう。 そこに居たというこの男… 『新選組の敵』『池田屋』『超絶イケメン』 最初に並んだキーワードは三つ。 ついでに『横暴』『残忍』『冷徹』も加わったところで…接触の悪い感じでチカチカと点滅してた電球が、 〝ピキィィーーーーン!〟 やっと頭の中で閃いた。 「んああァァァーーーー!?あ、あんたっ、あたしを投げ飛ばした野郎だあ!!」 「遅…今頃?」 道理であたしの扱いが雑なハズだよ!
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