花一匁・其の二

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「あん時はよくも…あたしが女だって知ってて、メチャクチャしやがってからに!」 「だから助かったって、何度も言ってるじゃない。」 「あれを助けたって言うか!?自分が逃げる為に、あんたが勝手に投げ飛ばしたんじゃん!」 「んー…近くに手頃なのが失くてついね。」 「手頃って何だよ!?あたしは物じゃないし!」 「しつこいなぁ…」 「はあ!?あんたにだけは言われたくないんですけど!!」 思い出させる為に、ネチネチネチネチ執拗に絡んで来たのは誰だっつーの! 「てゆーか!お礼言うのに拉致ったりとかやめてくんない!?あたしこれから江戸まで行かなきゃなんないのにもうはぐれちゃってさ、ここが何処かもわかんないんだからねっ!」 「…ふうん?江戸にねえ……何しに?」 ヒステリックに喚き散らすあたしに対し、男は急に冷えた目をする。 離して貰えない身体から、ピリッと緊張感みたいなものが伝わった。 「え、と…?…誰かを勧誘するとか何とか……あっ、」 怒りでうっかり忘れかけてたけど、こいつは〝悪い奴〟だ。 逆らわない方が身のためだと思って、ついポロッと口走っちゃったけど…これってヤバい…よね? 「勧誘って、誰を?」
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