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ま、またあ!?
「ンンーーーー!」
動かせない口からくぐもった声を上げると、離れた唇が弧を描く。
「…気になる相手を知りたいと思うのは、自然の摂理じゃない?」
「そ、それってどういう…」
「皆まで言わせるのは野暮ってモンだよ。」
「…っ、」
真剣な眼差しを直視出来ずに目を逸らした。
恋愛経験は皆無でも、そこまで言われて気付かないほど鈍感でも無い。
…あたしが好き、って事?
「どうして…そうなんの?」
数々の極悪非道な振る舞いからは遥かに飛躍した展開に、頭の中はオーバーヒート寸前だ。
「クス…さっきからそればかりだね。…まあいいけど。」
逸らした筈の視界に男の顔が映り込んだのは、顎を持ち上げられ正面を向かされたから。
「運命を感じたんだ。」
……運命?
臭い台詞に歯がムズムズする。
「本当は僕も死んでいたかも知れないのに、助かるきっかけを作ったのは場違いな格好をした女だった。ちょっと調べてみたら、新選組の組長になってるし…これってもう、偶然じゃなくて必然だったとしか思えないでしょ?僕等は出逢うべくして巡り逢ったんだって。」
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