奇跡は突然やって来る。

34/41
前へ
/412ページ
次へ
「わからねぇようだから、簡単に説明してやる。」 袴までしっかり履いて前に座る左之さんと、大打撃を喰らったソコを押さえ、横に寝転がったままシクシク泣く新八さん。 どんな理由があるのかと、緊張して生唾を飲んで見つめた。 「まずはお前の名からだな。なんてぇんだ?」 「吉野雅(ヨシノミヤビ)。」 「雅か、年は?」 「今二十歳だけど、今年二十一歳の予定。」 「…平助と同じ歳か。」 「何処から降って湧いて出て来た?」 ヒドイ言われ様だよ…。 しかもどうやって来たかなんて、あたしが聞きたかった。 「…わかんない。事故に遭ってぶっ飛んじゃったんだけど、落ちたらあそこだったし。」 「事故ってなんだ?」 まだ泣いてる新八さんが、恨めしげに見上げてあたしに尋ねる。 「交通事故…ってわかんないよねぇ。うーん、車と単車って説明長くなるから、そこは置いといて…とにかく、死にそうになったの。そしたら意識がフワフワ~ってなって…。」 「ふわふわ?曖昧な言い回しだな。」 自分が理解出来てないのに、上手く話せる訳はない。 「あっ、でもそのフワフワ~の時に、男の人と擦れ違った気がする!」 肝心な事を思い出して大きな声を出すと、二人は… 「ソレ、平助かも知んねぇぞ?」 「だな…あり得無くもねぇ。」 勝手に納得して頷いていた。 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2280人が本棚に入れています
本棚に追加