花一匁・其の二

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ん?…印? ツツツー、と指を視線で追い首を捻る。 「これ…虫刺され、だよ?」 「…ふうん、そう。じゃあそれ、付けた本人に言ってやりなよ。毒虫に吸われたみたいだって。」 「ど、毒虫!?」 一瞬、間に受けたあたしは驚いて…ハタと気付く。 『付けた本人』 『吸われたみたい』 ここまで並び立てられて漸く、酔っ払いの顔が浮かんだ。 「あ……あんにゃろーっ!あの時のヂカヂカした痛みはこれかあぁぁーーーー!!」 「…本当に知らなかったの?とことん鈍い子だね、君。」 いくらあたしが異性との経験が無いとは言え、これが何と呼ばれるモノなのかは知っている。 あたしを庇って正気を失う位、ぐでんぐでんに酔ってしまった山崎さん。 その時、一体誰と勘違いして襲って来たのか…ただ本能のままにヤリたくなっただけなのか… まぁ、最後はみっともない姿でゲロってたけども。 普段は先公みたく口煩い奴が、あそこまで豹変してしまった原因は自分だからと思って、本人は丸っきり忘れちゃってるのも好都合だったし、全部なかった事にするつもりだったのに。 「ぬああぁぁぁーーーーっ!ふざけやがってえぇーー!!何してくれちゃってんだよ、あのオッさん!?胸にキ、キ、キ…キスマークとか余計なモン付けてんじゃねぇぞ、ゴラァァァーーー!!」
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