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ん?…印?
ツツツー、と指を視線で追い首を捻る。
「これ…虫刺され、だよ?」
「…ふうん、そう。じゃあそれ、付けた本人に言ってやりなよ。毒虫に吸われたみたいだって。」
「ど、毒虫!?」
一瞬、間に受けたあたしは驚いて…ハタと気付く。
『付けた本人』
『吸われたみたい』
ここまで並び立てられて漸く、酔っ払いの顔が浮かんだ。
「あ……あんにゃろーっ!あの時のヂカヂカした痛みはこれかあぁぁーーーー!!」
「…本当に知らなかったの?とことん鈍い子だね、君。」
いくらあたしが異性との経験が無いとは言え、これが何と呼ばれるモノなのかは知っている。
あたしを庇って正気を失う位、ぐでんぐでんに酔ってしまった山崎さん。
その時、一体誰と勘違いして襲って来たのか…ただ本能のままにヤリたくなっただけなのか…
まぁ、最後はみっともない姿でゲロってたけども。
普段は先公みたく口煩い奴が、あそこまで豹変してしまった原因は自分だからと思って、本人は丸っきり忘れちゃってるのも好都合だったし、全部なかった事にするつもりだったのに。
「ぬああぁぁぁーーーーっ!ふざけやがってえぇーー!!何してくれちゃってんだよ、あのオッさん!?胸にキ、キ、キ…キスマークとか余計なモン付けてんじゃねぇぞ、ゴラァァァーーー!!」
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