花一匁・其の二

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ジタバタ藻掻いて、辛うじて動かせるようになった手で胸元を開き、更にサラシをズラして… 赤い印とやらを発見し、 「マジで殺してやるっ、エロジジィめーーーー!!」 天に向かい発狂した。 襲われかけたという身に覚えがあるだけに、羞恥心で顔から火が噴き出そうだ。 「…煩いよ。」 男は両耳を塞ぎながらいつの間にかあたしから離れ、息を荒げ興奮する様を迷惑気に見下ろす。 一旦落ち着くのを待ってから、男はぽそりと呟いた。 「…その様子だとどうやら、僕の思い違いだったみたいだね。」 「何が!?」 苛立ちから吐き捨てるように聞き返せば、 「君はまだ…未通、なんだろう?」 何故かしらホッとした表情を見せている。 「…は?未通?何それ?」 意味がわからず訝しげに見返すと、 「つまり、君はあの狗共に手篭めにされてはいないって事だよ。」 艶やかな唇に黒い笑みを浮かべた。 …未通は手篭め、か…ふむふむ、成る程成る程………って!ちょい待てっ!! モヤモヤと浮かぶ、18禁のあは~んなエッチシーン。 「て、手篭めって!まさかっ、そんな訳ないじゃん!!ナイナイナイナイ、絶対にナイねっ!『コレ』だってそういうんじゃなくてっ……そう!酔っ払いの悪巫山戯だもんっ!!」 また別の熱が、全身に湧き上がる。 いや、確かに昨日はちょっとヤバかったけどもね!? 実際に数ヶ月一緒に暮らしてみて理解した事。 それは… 正気を失くす位で無い限り大方の新選組の面々は、あたしを性的対象のカテゴリには入れていないって事だ。
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