花一匁・其の二

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そう自分自身で再認識しておきながら、 …それはそれで凹むかも… 片隅にちょびっとだけ残ってた女としてのプライドが、粉々に砕け散った。 「…ナイもん…くすん。」 「全く…忙しない子だね。怒るか泣くか、どっちかにしなよ。鬱陶しい。」 ぐうっ……鬼畜め。 仮にも好きな女に向かって、何て言い草だ。 〝うっさい!世の中には泣き笑いっつーのもあんだよっ、似たようなもんじゃん!ほっとけ冷血漢め!〟 …て、怒鳴り返してやりたいがここは我慢我慢… 無事にこのピンチを切り抜けられたら、必ず確かめようと固く誓った事がある。 重度のストレスで、円形脱毛症になってないか…だ。 「そんなに睨まないでくれない?面白い顔だから。」 更に追い打ちをかけて、男が嘲笑う。 「…悪うござんしたね、変な顔で。」 横向きで膨れっ面を隠し小さく反論すると、 「悪いなんて言ってないよ。白粉臭くて媚びばかり売る女より、よっぽどいいと思うけど。…弄り甲斐があって。」 慰めにもならないフォローをされた。 最後の一言もすげえ余計だし。 「…そんで?結局あんたは、あたしをどうしたいの?」 多分、未来から来たとはバレちゃいないんだろうけど、新選組の幹部が実は瓜二つの偽物で女だってのはバレちゃってる訳だから… どう転んでも、あたしはこいつの言いなりになるしかないんだ。 皆の迷惑にならないように。
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