花一匁・其の二

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……何で貴様が知っている!? 池田屋ん時にはその場にいなかったハズの山崎さん。 驚きで目を見開く。 「ーーあっ!あん時のあんにゃろうかっ!!かあぁーーっ、ムカつくぜーーー!!」 やっと思い出した様子の新八さんはいきなり吠え出し、あたしはと言えば山崎さんを凝視して固まったままだ。 「ん?何で知っとんのやって顔やなぁ。俺は監察やで?下調べで潜伏した時に、彼方此方であのヤバそうなニイちゃんはチョイチョイ見掛けとったさかいな。手練れが一人逃げた報告は受けとるし、特徴照らし合わせたら大体誰かは解るっちゅーねん、阿保。」 な、なるほろ…記憶力がいいって事っスね… 普段は馬鹿みたいな喧嘩ばっかしてるから、見縊っていたよ、山崎君。 そういや監察官としての山崎さんは一流だと誰かが言っていたっけ…と、今更ながら思い出す。 こっちに来てから今迄、池田屋ん時みたいな大きな抗争にあたしは参加してないから…山崎さんの間者とやらの実力は謎ってのが本音ではあるけれど。 「あいつやっぱり、あん時に仕留めときゃ良かったぜ!また絶対、雅にチョッカイかけて来るに決まってんだかんよっ!チクショーが!!」 新八さんは鼻息荒くして息巻いてるけど… 内股ポーズのままじゃ、どうにも締まんないし頼りない。 「せやな…あの手の輩は蛇みたいにしつこうて、何やらかして来るかわからへん。こっから先は気ィ引き締めていかんとな。」
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