雨上がりの午後に

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同じくらい不機嫌そうな顔になった平助がいきなりドリアの空容器を投げ付けやがって、円盤投げみてえに手首を効かせたそれは上手い事俺の後頭部へ直撃して、ペタンと間抜けな音を立て足元に落ちた。 「……ゴミはゴミ箱に入れろって何度も教えたよな?小せえガキでも一回教えりゃ出来る事をてめえはやれねえのか?なあ?」 全く持って痛くはねえけど、地味にムカつく攻撃に対し空容器を蹴り飛ばす。 だが裏返った薄っぺらで軽い空容器は、やっぱりペコンと間抜けな音を出してちょっと移動しただけだった。 「…………」 「ヘタクソ。」 「ああ?」 「自分だってゴミ箱捨てずに蹴ってるし。」 「何で俺がやらなきゃいけねえんだよ。てめえのゴミだろうが。」 「買って来たのは蓮司でしょ。」 「違えだろ、てめえがパシらせたんじゃねえか。蛞蝓みてえにグジグジしやがって、このヒッキーが。」 「…またわかんない言葉使ってさ、どうせ悪口なんだろうけど。大体、元は俺が持ってた金子で買ったんだから文句言われる筋合いはないね。」 「は?危ねえ橋渡ってその金子をこっちの金に変えてやったのは、誰だと思ってんだ。」 「頼んでませんー。」 「そうかよ、そりゃ出張って悪かったな。そんじゃ後は好きにしろ。買い出しだけじゃねえ。家賃の振込みも水道光熱費も税金関係も何もかも。もしてめえがポカやらかしてこの時代のモンに怪しまれても、もう俺は助けねえかんな。」 「誰も助けてくれなんて言いませんー。…ふん、ほら見ろ。やっぱ俺の事なんて厄介者位にしか思ってなかったんじゃん。」
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