奇跡は突然やって来る。

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こんな偶然ってあるんだろうか? 『平助』って人がご先祖様とか、私が『平助』って人の生まれ変わりとか…無くはないだろうけど、時代が違うのにお互いが死にそうになって、全部が入れ代わるなんて…。 「起こっちまった事は仕方ねぇ。ただな…これを受け入れるに当たって、大事な事を忘れちゃいけねぇよ。」 新八さんがまだ『ソコ』を押さえたまま、真面目な顔であたしを見た。 「お前が平助とすり替わったって事はだ、平助はお前のいた所に飛ばされたと考えていいだろうな。そして、いつどこでまた入れ替わるとも解らねぇ。」 「元に戻れるかも知れないって事!?」 「かも知れねぇし、一生このまま戻れねぇかも知れねぇ。」 「…結局『知らねぇ』ばっかじゃん。」 淡い期待は瞬く間に崩れ落ちた。 こんな所で朽ち果てるのかと思うと、あたしの人生やっぱりロクなもんじゃない。 もしも『平助』とやらがあたしの時代に行ったとして、何の不便があるだろうか? 例え酷いカルチャーショックを受けても、普通の暮らしとして慣れてしまえば、この時代よりも楽に生きていけると思う。 でも、あたしは? ここでいつか未来に帰れる日が来ると信じて待っていても、それまで生きていられるの?
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