雨上がりの午後に

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化粧臭い猫なで声の女達…じゃねえ、女性客らがカウンターに寄り掛かり、胸の谷間を強調してネチっこい視線を送ってくる。 …こういう男漁り目的の女は、特に苦手だ。 客じゃなかったら、正座に説教コースか完全シカトしてやんのに。 「すみません、今の独り言はオフレコで。」 毎回これも金の内だと割り切って、口許に微笑を浮かべ人差し指を唇に当てて見せた。 「まぁ…それはいいケドォ~、慰めてあげるってのはスルーしちゃう訳ぇ?私、トウマ君狙いでずっと通ってるんだけどぉ…」 「女に恥かかせちゃダメよ~ん。でもぉ~そんな冷たいトウマ君も大好き~」 …め、ん、ど、く、せ、え。 一度ヒクッと眉尻が上がり、何とか気持ちを鎮める。 「だからぁ~…ね?今晩、私とどう?」 「は、はあ…ですが、お客様と関係を持つのはタブーだって、オーナーからキツく言われてまして…」 「大丈夫ぅ~黙ってればバレないわよぅ~」 「一人がダメなら二人で相手してあげるからぁ~…あ、もしかしてぇ…そういうのは初体験だったりぃ~?」 「……」 酔っ払いはマジでタチ悪りぃぜ… 自分で言うのもアレだが、昔から女には不自由した事がない。 つっても語弊があっちゃいけねえから釈明しとくと、俺にとって『彼女』だの『結婚』だの必要性を感じなかった頃は勝手に擦り寄って来る女達と…欲を満たすだけの割り切った関係を持った事があるって程度で、手当たり次第つまみ食いのポイ捨てして遊んでた訳じゃねえかんな。 心の中で吐き出す溜息。 「…お誘いは嬉しいんですけどね、俺みたいな気が利かない男、お嬢様方には満足出来ないと思いますよ。」
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