雨上がりの午後に

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さっき俺にキスして来た女逹が、容赦無く毒を吐く。 「それになぁに~そのカッコ!」 「ダサ~い!!」 「恥ずかしくないのかしらね~」 客席に回り込んで平助に辿り着くより早く、女逹が囲い出した。 「ぷっ、ちょっとちょっと~何コレ~?」 「トマトジュース?ありえなぁ~い!」 「お子ちゃまは帰りなさいよ~ここは大人の来る所よ~?」 カウンターに置いてあったグラスを見て、ケラケラと嘲笑する。 …トマトジュース? 俺は開店からカウンターにいた。 なのに平助が来た事にも気付かなかったし、トマトジュースをオーダーされた記憶もない。 どんな手品を使ったのかと不思議に思っていれば… 「あ、あのっ、すみません!このお方…じゃなかった、こ、この人は俺逹のダ、ダチなんスよ!!」 血相変えて間に割って入ったリョウ。 もとい、康男(ヤスオ)。 「あっ…」 焦って助け舟を出した様子からやっとカラクリを理解した。 康男は元々、俺のチームにいた下っ端だ。 そうすっと勿論、抗争の助っ人に来てた『雅』の存在は知っている。 付き合いなんてなかっただろうが、ふらりとやって来た『雅』を見て、俺を訪ねて来たんじゃねえかって店に入れちまったんじゃねえかと思う。 俺が席を外したのは二回。 トイレとバックヤードに、品切れたリキュールを取りに行った時だけなんだが… 気付かれずに入って来たとしたら、そのどっちかしかない。
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