雨上がりの午後に

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平助もあざとい野郎だな。 『雅』だと勘違いされてんのを利用しやがったんだから。 「友達ィ~?」 「こんなみすぼらしい女と~?」 「ヤダァ~ウケる~!」 ウケるのはてめえらだっつーの。 芝居掛かってのオーバーリアクションはまるで、お遊戯会の『シンデレラ』に出て来る継母や義姉の滑稽なそれと同じ。 「いや、だからっスね…勘弁して貰えないっスか。そうだ、あっちで楽しく飲み直しましょうよ、一杯奢りますから、ね?」 康男も頬を引きつらせながら笑顔を浮かべ、懸命に機嫌を取ろうとしている。 なのに、 「あんたなんか、お呼びじゃないのよ~」 「私達はぁ~そいつに用があるの~」 「そこ退きなさいよ~逃がそうとしてんのミエミエだからぁ~」 「ちょっ、」 「「「あんた邪魔っ!」」」 「うわあっ!?」 意地でも平助をいたぶる気らしく、康男を三人で押し退け転ばせちまった。 「いっ、てえっ!」 固定された椅子に背中をぶつけ痛がる様子を見ても、意地悪く笑う顔はやっぱシンデレラの継母や義姉と同じ嫌いな部類の人種に思えた。 「康男、大丈…」 「…いい加減にしたら?」
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