雨上がりの午後に

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さっさとケリつけてえのと、誰にも邪魔されたくねえ焦りから乱暴に引っ張っちまったが、平助は唇を噛んで俯き急に大人しくなって言われるがまま付いて来た。 「ちょっとあんた達!二人して逃げてんじゃないわよっ!」 しかし、こういう状況になっても空気の読めない女達は、必死に喰らいついて来ようと後を追ってくる。 そうなると苛立ちから舌打ちが漏れ、 「…失せろ。」 抑えていた本性が顔を覗かせた。 冷酷さを滲ませ睨むと女達はたじろぎ、掴んでいた平助の腕にも力が入ったのがわかった。 「な、何よっ!私達は客よ!?」 「ちょっとイケメンだと思っていい気にならないで!」 「あんたなんか、クビになったらいいのよ!こんなとこ来る価値もない最低な店だって、ブログに書いて広めてやるから!」 ほんの一握り残った戦意かプライドか。 ビビりながら最後は脅しに出た女達だが、 「好きにしろよ。後で後悔すんのはてめえらだぜ?」 その一言が自分らの首を絞めた事に気付くのは… 「…ちょーっと、お姉さん方。今何つった?」 「そーゆーお巫山戯は感心しねえなぁ。」 「さっきから黙って聞いてりゃさぁ。調子乗ってっと、裏チャンに引きずり込むよー?」 ほんの数秒後。 言い忘れていたが、ここはヤーさん経営の元ヤンばかりが雇用されてる、言わば悪の巣窟。 一見表向きは他と変わんねえけど、ノーマルな客よりそっち絡みの客の方が断然多いイかれた店だ。 さっきまでニヤけて様子を見てたホストも客も、実はチンピラやチーマー族上がりが殆どで、 「総長、ここは俺らが引き受っから、とっととキメて来いよ。」 「あーあー、蓮司さんも人がいいんだか悪いんだか…こんなズベ公、最初っから追い出しちまえば良かったのに。」 「だよなぁ~、オレ達に落とし前つけさせちゃーマズいって。いいの?手加減出来ねぇの知ってるっしょ?」 これからえげつない制裁…仕置きをしようって時に、心底喜んでるような連中ばっかだし。
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