奇跡は突然やって来る。

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「無理を承知で頼む。アイツがもしも帰って来た時の為に…居場所を残しててやりてぇんだ。このまま此処に留まってくれ。」 左之さんが頭を下げ、新八さんも同じように頭を下げた。 「お前が此処から離れる事で、条件違いがどんな影響を及ぼすか解らねぇ。頼む!この通りだ!!」 「女のお前には酷な話しだと重々承知している。…だが無理を通すからにゃ、俺達はお前を命懸けで護ると誓う!頼まれてくれ!!」 大の男が頭を畳に擦りつけて、仲間の為に得体の知れない女に頭を下げる。 その姿は滑稽であり、羨ましくもあった。 ここは危険な所だと骨身に染みて解っているのに、違う場所に動く事で現代へと戻る糸を、自分で切ってしまっては元も子もない。 他に行く宛てがある訳でなし、選択する別の道は考えつかなかった。 「はあぁぁぁーーっ…もう!…それで!?あたしにどうしろって言うの!?『平助』って人、組長なんだよね!?残念ながらあたしに人殺しなんて出来ないし、直ぐにバレると思うけどね!!」 引き受けたくはないけど…望んでこうなった訳でもないけど、二人にしてみたらあたしと『平助』って人の、数奇な運命に関わる必要なんてないのに…。 こうも一生懸命にされると、張本人が逃げる訳にはいかないじゃない。 、
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